コラム

炭化装置の仕組みとは?種類や炭化プロセスを徹底解説!

炭化装置の仕組みとは?種類や炭化プロセスを徹底解説!

炭化装置は、廃棄物やバイオマスなどの有機物を高温で加熱し、炭素を残すことで、エネルギー資源や土壌改良材として再利用できる炭化物を生成する装置です。

最近では、循環型社会の実現やCO2排出削減のため、企業や自治体でも導入が進んでいます。

本記事では、炭化の基本的な仕組みからさまざまな炭化装置の種類、炭化プロセス、そして実際の導入事例について詳しく解説していきます。

 

炭化とは

carbo

炭化とは、有機物を酸素の供給がない状態で高温に加熱し、炭に変化させるプロセスを指します。

この方法は、自然の中での炭の生成に似た工程を人工的に再現したもので、木材やバイオマスなどの有機物を効率的に炭化させる手段として利用されています。

炭化の過程で、有機物中の水分やその他の不純物が取り除かれ、最終的に炭素の濃度が高い物質が生成されることが特徴です。

生成された炭は、燃料として使うことができるほか、土壌改良材としても役立つなど、多用途にわたる活用が可能です。

 

さらに、炭化装置を使って炭化する場合、過程で発生するガスをエネルギー源として再利用できる点もポイントです。

このガスは装置自体の加熱に使われるため、エネルギーの効率的な循環が図れ、環境負荷を抑えながら処理を行うことが可能になります。

このように、炭化は単なる燃料生成だけでなく、廃棄物を有効活用し、持続可能なエネルギー利用を促進する画期的な技術として注目されています。

 

炭化装置の仕組み

structure

炭化装置は、有機物を酸素のない状態で加熱し、炭化させるために設計された装置です。

炭化のプロセスでは、木材やバイオマスなどの原料を高温で処理することで水分や不要な物質を取り除き、最終的に高炭素の物質を生成します。

装置にはさまざまなタイプがあり、原料の投入方法や処理量に応じて最適な仕組みが採用されています。

  • 外熱式
  • 過熱蒸気式
  • 電気式
  • ローターキルン式
  • 直接加熱式

ここでは、上記の5つの炭化装置の仕組みについて見ていきましょう。

 

外熱式

外熱式は、炭化炉の外側から熱を加える方式で、燃焼炉やバーナーを使用して炉の周りを直接加熱し、その熱によって内部の原料を炭化させます。

この方法では、熱が外部から間接的に内部へ伝わるため、炭化過程において酸素が供給される心配がなく、酸化を防いだまま安定した炭化が可能です。

また、外部からの加熱によって炉内全体に均等に熱が広がるため、原料が均一に炭化され、高品質な炭が得られる点が特徴です。

外熱式の炭化装置は、特に大規模な施設や長時間の稼働を求められる場合に適しており、エネルギーの効率的な利用と高い安定性が求められる産業用途で多く採用されています。

 

過熱蒸気式

過熱蒸気式は、300℃以上に加熱した高温蒸気を原料に直接吹き付けて炭化を進める方式です。

この方法では、蒸気が熱を効率よく伝えるため、原料全体を短時間で均一に炭化させることが可能です。

過熱蒸気の使用によって酸素が遮断されるため、酸化を抑えつつ炭化が進み、品質の高い炭が生成されます。

また、蒸気による熱伝導は非常に効率的であり、外部からの燃焼による加熱が不要なため、エネルギー消費の低減につながる点がメリットの一つです。

過熱蒸気式は、特に高い精度で炭化を行いたい場合や、処理時間の短縮が求められる産業用途において、安定した品質と効率的なエネルギー利用を実現する炭化方式として利用されています。

 

電気式

電気式は、電気エネルギーを用いて直接炭化炉を加熱し、原料を炭化させる方式です。

この方法では、電気ヒーターや加熱コイルなどを使って高精度に温度を制御できるため、炭化プロセスの細かな調整が可能です。

電気式は、他の方式と比べて外部燃料を必要とせず、純粋に電力で加熱を行うため、装置の設置場所や運用環境に柔軟性があります

また、温度管理がしやすく、安定した加熱が実現できるため、小規模な実験施設や研究機関などでの使用にも適しています。

電気式は、炭化の温度を精密に制御したい場合や、燃料供給が難しい環境での運用に最適な方式といえますが、電力消費が多いため、大規模な施設や長時間の稼働にはコスト面での課題を考慮しなくてはなりません。

 

ローターキルン式

ローターキルン式は、回転式の炉を用いて炭化を行う方式で、炉がゆっくりと回転することで内部の原料が均等に熱せられ、効率的に炭化が進みます。

この方式は、回転によって原料が常に動いているため、炭化のムラが少なく、均一な品質の炭を生成することが可能です。

ローターキルン式では、外部からの加熱を行うことが一般的で、間接的に熱を伝えることで酸素が遮断され、酸化を防ぎながら高品質な炭化が実現されます。

さらに、ローターキルン式は連続稼働に適しており、大量の原料を効率よく処理できるため、大規模な産業施設や連続生産が求められる現場で多く採用されています。

廃棄物処理やバイオマスの炭化といった用途で優れた成果を発揮し、エネルギー効率の高い安定した炭化プロセスを実現することから、環境負荷の低減にも貢献する方式です。

 

直接加熱式

直接加熱式は、バーナーや燃焼装置を用いて、原料そのものを直接加熱する方式です。

この方法では、加熱源が直接原料に接触するため、短時間で高温に達し、効率的に炭化が進行します。

直接加熱式は、装置の構造が比較的シンプルであるため、初期導入のコストが抑えられ、運用も容易です。

また、速やかな加熱が可能なため、迅速な処理が求められる現場に適しています。

ただし、直接加熱式は原料が燃焼装置と直接接触するため、温度管理が難しく、酸化が発生するリスクがある点に注意が必要です。

そのため、酸化による品質の変動を避けるために、温度の調整や加熱方法に工夫が求められます。

こうした特性から、直接加熱式は、迅速な処理を重視する用途や、小規模な炭化処理に向いている方式とされています。

 

炭化装置の種類

type

炭化装置には、炭化の方法や目的に応じてさまざまな種類が存在します。

各装置は、加熱方式や構造に独自の特徴を持ち、対象とする原料や処理規模に応じて最適な選択が可能です。

例えば、小規模な研究用途には温度調整がしやすいバッチ式が適している一方、大量処理が求められる産業用途には連続的に処理できる連続式が多く採用されています。

 

ここでは、

  • 連続式炭化装置
  • バッチ式炭化装置

の2つの炭化装置の種類の用途や特徴について見ていきましょう。

 

連続式炭化装置

連続式炭化装置は、原料が絶え間なく装置に供給され、炭化された製品が連続的に排出される仕組みを持つため、大規模な処理に適しています。

常に一定量の原料を供給し続けることで、長時間の安定した運転が可能で、効率的に大量の廃棄物やバイオマスを炭化できるのが特徴です。

この方式により、エネルギーの無駄を抑えながら、持続的な生産が求められる産業現場で多く利用されています。

 

株式会社ZEエナジーが提供している製品で連続式炭化装置に該当するのは、ZEBIO-Cシリーズと呼ばれるモデルです。

炭化のプロセスで発生するガスを回収して加熱用のエネルギーとして再利用します。

これにより、ライフサイクル全体のエネルギー効率が向上し、ランニングコストの削減につながります

 

また、含水率の高い廃棄物(汚泥やペーパースラッジなど)を事前に乾燥させる装置をオプションで付けることも可能であり、炭化プロセスにおける炭化効率をさらに高めることが可能です。

乾留ガスをエネルギーとして再利用することで、運用コストを抑えながら環境にも配慮した循環型の炭化プロセスを実現しています。

 

バッチ式炭化装置

バッチ式炭化装置は、原料を装置内に投入し、炭化プロセスが完了したら次のバッチを投入するというサイクルを繰り返す方式で、小規模から中規模の処理に適した炭化方法です。

各バッチごとに処理が完了するため、プロセス管理がしやすく、精度の高い炭化を実現できます。

株式会社ZEエナジーが提供するZEBIO-Bシリーズは、バッチ式のモデルで、大型廃棄物を破砕せずにそのまま投入できるという利便性が特徴です。

 

ZEBIO-Bシリーズは、本体にセラミック断熱材を採用しており、短時間で少ないエネルギーでの炭化が可能となり、ランニングコストの削減も実現しています。

また、高温での炭化が可能で、炭素の固定率が非常に高く、他の炭化方式に比べて良質な炭化物を生成できる点も魅力です。

 

安全性においても、ZEBIO-Bシリーズは自動制御システムを備え、運転管理が容易で安全性の高い運用が可能です。

また、オプションとしてバイオマス燃料バーナーの導入が可能で、炭や廃食油などの代替エネルギーを使用することもでき、環境負荷の低減とコスト削減に貢献します。

さらに、排熱ボイラーや軟水化装置などのオプション機器により、工場内で蒸気や温水として再利用できるなど、エネルギーの有効利用も図れます。

 

炭化装置の主要部品

component

炭化装置は、効率的かつ高品質な炭化プロセスを実現するために、いくつかの部品で構成されています。

各部品が連携し、安定した炭化プロセスを支えることで、さまざまな素材や廃棄物の炭化を可能にしています。

  • 加熱炉
  • 排気処理装置
  • 冷却システム

ここでは、炭化装置には欠かせない3つの主用部品について見ていきましょう。

 

加熱炉

加熱炉は、炭化装置の中心的な役割を担う部品であり、原料を高温にすることで炭化プロセスを促進します。

この装置は、炭化炉内の温度を制御し、必要な温度範囲まで原料を加熱するために設計されています。

加熱炉の性能によって、炭化のスピードや炭の品質が大きく左右されるため、安定した高温環境を維持することが重要です。

 

加熱炉には、燃焼式や電気式、蒸気を用いた方式などがあり、それぞれの炭化装置のタイプや用途に応じた加熱方式が採用されています。

エネルギー効率を高めるために、排熱の再利用が組み込まれている加熱炉も多く、燃料や電力の消費を抑えながら、持続可能な炭化プロセスを実現しています。

 

排気処理装置

排気処理装置は、炭化の過程で発生するガスを適切に処理し、環境への影響を最小限に抑えるために重要です。

炭化中に生じるガスには、有機物の分解によって発生する成分が含まれており、これらのガスを適切に管理しなければ、大気汚染や安全性の問題が生じる可能性があります。

排気処理装置は、これらのガスを浄化し、無害な状態にすることで、炭化プロセス全体の環境負荷を低減している部品です。

 

また、一部の排気処理装置では、発生したガスをエネルギー源として再利用する仕組みが採用されており、装置全体のエネルギー効率の向上にも寄与しています。

例えば、乾留ガスを加熱源として利用することで、炭化装置自体のエネルギー消費を抑えながら、持続可能な運転が可能となります。

排気処理装置は、環境保護とエネルギー効率の両面で優れた役割を果たし、現代の炭化技術において欠かせない存在です。

 

冷却システム

冷却システムは、炭化後の炭や生成物を急速に冷却し、安全に取り扱える温度にするための装置です。

炭化プロセスが終了した直後の炭は非常に高温であるため、そのままでは取り扱いが難しいことに加え、酸化による品質の劣化や発火のリスクもあります。

冷却システムは、こうしたリスクを抑え、生成物を安定した状態に保つために必要です。

冷却には水冷式や空冷式があり、それぞれ装置の規模や設置環境に応じた方式が選ばれます。

 

炭化プロセス

process

炭化プロセスは、有機物を酸素のない状態で高温に加熱し、炭化させる一連の工程です。

プロセスには、加熱から冷却までいくつかの段階があり、それぞれが炭の品質とエネルギー効率に大きく影響します。

炭化装置の各部品が連携し、最適な条件でプロセスを進行させることで、高品質な炭が安定して生成されます。

  1. 原料投入
  2. 加熱と乾燥
  3. 炭化
  4. 副産物の生成
  5. 冷却と炭の取り出し
  6. 排気ガス処理

ここでは、炭化プロセスについて細かく見ていきましょう。

 

原料投入

原料投入は、炭化プロセスの第一段階であり、木材や農業廃棄物、家畜の排泄物、食品廃棄物などのさまざまなバイオマス資源が炭化装置に投入されます。

これらの原料は、炭化によって炭素を豊富に含んだ炭や土壌改良材へと変換され、エネルギー資源や農業資材として活用されます。

 

加熱と乾燥

加熱と乾燥は、炭化プロセスの初期段階であり、投入された原料を低温で加熱して水分を蒸発させる重要な工程です。

この段階では、まだ炭化そのものは進行せず、原料中の水分が効率的に取り除かれることで、次の炭化工程に最適な状態が整えられます。

乾燥プロセスが不十分だと、炭化時に多くのエネルギーが水分の蒸発に使われ、炭の品質や生成効率が低下するため、安定した加熱と乾燥が不可欠です。

多くの炭化装置では、乾燥の過程で発生する排熱や乾留ガスを再利用するシステムを導入しており、エネルギーの無駄を最小限に抑えながら効率的に水分を除去しています。

 

炭化

炭化は、温度を400〜600℃にまで上げた状態で、酸素を制限した環境下で原料を加熱し、炭素を豊富に含む炭を生成するプロセスの中心的な工程です。

この段階では、原料中の有機物が分解され、炭素が凝縮されることで、最終的な炭化物が形成されます。

酸素を遮断することで、原料が燃焼することなく安定して炭化が進行し、炭としての性質が高まります。

 

炭化が適切に進行するためには、加熱の温度と時間を厳密に管理することが必要です。

温度が低すぎると炭化が不完全となり、高すぎると不要な分解が進んで炭の品質が損なわれる可能性があります。

この工程では、乾留ガスなどの副生成物が発生しますが、多くの炭化装置ではこのガスをエネルギー源として再利用し、装置の加熱に利用することでエネルギー効率を向上させています。

 

副産物の生成

炭化プロセスでは、炭だけでなくさまざまな副産物が生成されます。

代表的なのは、お湯や乾留ガスです。

お湯は、もちろん下水に放出することもできますが、土壌を温めるなどの有効的に利用されるケースもあります。

一方、乾留ガスは、炭化プロセス中に放出される燃焼可能なガスで、エネルギー源としての利用が期待されています。

当社の炭化装置では、この乾留ガスを装置の加熱エネルギーとして再利用する仕組みが導入されており、エネルギーの無駄を抑えた効率的な運転が実現可能です。

 

冷却と炭の取り出し

炭化プロセスが完了した後、生成された炭は高温のまま取り出すことができないため、まず装置内で冷却されます。

この冷却工程は、炭の品質を保つと同時に、安全に取り扱える状態にするために不可欠です。

冷却は急速かつ均一に行われることで、炭が安定し、酸化や発火のリスクを防ぎます。

 

冷却が完了した炭は、装置から取り出され、燃料や土壌改良材、脱臭材などの用途に応じて加工や梱包が行われます。

効率的な冷却と取り出しのプロセスにより、品質を保ちながら安全に次の工程へと進めることが可能です。

 

排気ガス処理

炭化の過程では、有機物が加熱・分解される際にさまざまな排気ガスが発生します。

これらのガスには、環境に影響を与える成分が含まれているため、適切に処理することが必要です。

そのため、炭化装置には専用のフィルターや処理装置が設置されており、排気ガスを浄化・燃焼して無害化することで大気中への有害物質の放出を防ぎ、環境負荷を軽減できます。

 

排気ガス処理は、炭化プロセスにおいて環境保護とエネルギーの有効利用を両立させる重要な工程であり、持続可能な運用に欠かせない要素です。

 

炭化装置の仕組みまとめ

structure

本記事では、炭化装置の基本的な仕組みやさまざまな種類、具体的な炭化プロセス、さらには実際の導入事例について解説してきました。

炭化装置は、環境負荷を抑えながら廃棄物やバイオマスを有効活用し、エネルギー資源や土壌改良材として再利用するための重要な技術です。

さらに詳しい情報や導入をご検討の方は、ぜひ株式会社ZEエナジーへお問い合わせください。

持続可能な炭化プロセスの導入に関するご相談もお待ちしております。